2013年10月14日月曜日

とっさの一言




 事務所に戻った沙里は、早速先ほど街で耳にした曲をインターネットで検索した。レイカというアーティストが広島出身であること、彼女のプロフィールのあれこれを調べていくうちに、彼女自身が経験した、失恋とまでは言わないけれど友達以上恋人未満な関係をテーマに曲作りをしていることを知り、少し興味がわいた。

 「どおりで耳に残る歌なわけだ」

 カフェでお茶をしている時もオフィスへの帰り道も、ここ最近彼女の歌声が気になっていた理由をなんとなく理解できた気がした。

2013年9月20日金曜日

沙里、悟の過去を知り始める時





 程なくして、悟は当然のことながらiPhoneのカメラ機能に興味を持った。レイカはいつも、悟が寝た後に自宅にやってくる。いつの間にか現れては、いつの間にかそばに居て、いつの間にか、大切な存在になった。そんな、いつ現れるとも知れないレイカとの距離を縮めておけるものが、iPhoneで、twitterで、ソーシャルネットワークだった。

 レイカに見せたいものを、僕が撮る。

 悟がそういう心境になるまでに時間はかからなかった。

2013年9月16日月曜日

その手に、持つべきもの……




 悟と彼女、レイカの出会いはありきたりであり、ありきたりではなかった。

 悟は偶然、彼女がアリス・ガーデンの野外特設ステージでギターを手に歌う姿を目にした。